2010.10.11
秋葉哲生、中村常太郎共著「警鐘!漢方保険診療〜審査委員長は、かく語りき〜」(源草社)1890円 が刊行されました(正確には書店に10月16日頃ならびます)。
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警鐘!漢方保険診療
【前書き】
漢方医学は二十一世紀のわが国に必要な治療医学である。西洋医学の行き過ぎや心得違いをただす役割という視点でみると、むしろ日本の現代医学になくてはならない医学であるといえよう。
小生が対談する機会を戴いた中村常太郎先生は心臓外科医で、ながらく千葉県立鶴舞病院(現・千葉県循環器病センター)の病院長の要職にあられた。エキス漢方製剤の本格的な登場以前から、実際の臨床で漢方薬を用いておられ、知る人ぞ知る漢方医学の真のエキスパートである。しかも、長年千葉県国保連合会の審査委員長をなされておられた。小生は一時先生の病院で押しかけの研修生でもあったので、先生は小生の漢方の師匠のお一人でもある。小生は三年前から千乗県社保支部の審査委員長なので、ほぼ国保、社保の審査委員長同士が、しかも師弟関係にあって、一冊の書物を刊行するというきわめて珍しい出来事がここに現出したのであった。
「ほぼ」と留保をつけたのは、中村先生は対談一年前に審査委員長を退任されたからである。しかしその舌鋒は現役時代に増して鋭いもので、切っ先を受けて立つへなちょこ後輩の竹刀はしばしばたわみ、折れて吹き飛んだのであった。
漢方の保険審査の実情をこれほど生々しく記述した書物はこれまでに存在しなかったばかりか、保険診療制度というすべての医師が関わっているが、詳しく知る医師はほとんどないという逆説的な制度の一端をここまで明らかにした書物もなかった。
本書を読まれた漢方関係者が、漢方をいっそう活用すべく、保険診療の前線に勇猛心をもって臨むきっかけとなれば幸いである。
平成二十二年八月十五日 過ぐる敗戦の日に
秋葉哲生